ご挨拶

『安心と中立』それは、日本セクシュアルマイノリティ協会が2011年1月に設立される前身の時代から、私たちが大切にしてきたものです。当協会は安心を実現する為に中立な立場から、さまざまなコトや物・人の架け橋になります。セクシュアルマイノリティ(LGBT)ひいてはすべての性の住み良い環境を整える為に、今までの経験を生かしながら、できることを一つ一つ実践していきます。

「セクシュアルマイノリティ(LGBT)とその理解者が寄り添いあい、支え合えたら安心だ。」「人生行路の指針となるものがあったらいい。」「ノーマライゼーション。少数派も多数派も認め合い、いろんな人がいる社会が当たり前になったらいい。」という気持ちで、“協会”を設立しました。

100人いれば100通りの認識

今やセクシュアルマイノリティ(LGBT)は多様な性として、日本の社会でも受け入れられ始めています。性別はグラデーションのように100人いれば100通りの認識があります。性別が「男性」「女性」の二通りに依らないことが理解されつつある今だからこそ、丁寧に素直な私たちの姿を発信していく事が大切です。

正しい知識を得ることはとても大切です。ですが『正しい』とはどういうことをいうのでしょうか。例えば子どもを東大に入学させたい母親が育児書を100冊読んでも、高名な教育家のセミナーを聞きに行っても、そもそも子ども本人が大学受験をしようと思うかはわかりません。どんな人生を送るのか、最終的にはその子(人)を取り巻く人間環境や社会環境が大きく関係してきます。私たちは一人ひとり異なる人間ですから『答えが出ないことが答えである』と言えます。ひとりひとりと向き合い、一つ一つの事例の理解に努める社会の促進を目指します。

1人だけでなく、みんなの力で

日頃あまり意識しませんが、私たちは支え合いながら生きています。それを、一つの形にしたものが協会です。『相互扶助』の精神で、それぞれができる形で支え合い、一つのコミュニティ(協会)を形成することで、協会がその人の人生にとって、一つの安心の形としてありたいと考えています。その人のペースで、ときに寄り添い合い、ときに時間を共有したり楽しんだり、または静観することもできる環境をめざしています。
「それぞれができる形で支え合う」とは、高い能力や特別な何かが必要なわけではありません。能力に関係なく気持ちが集まることで、形にできることがあると信じています。

ありのままの自分で

『ありのままの自分』、例えば自分がしたい格好や話したい話し方で過ごせる。カミングアウトをした方が自分らしく生きられる人は、迷わずカミングアウトできる。カミングアウトをする必要がなく、するつもりがないのなら黙っていられる。それぞれにとって自分らしい選択ができる社会を作ります。

日本セクシュアルマイノリティ協会は、すべての性にとっての「安心」とは何かを考え、快適に過ごしていける社会になるよう努めます。

2016.12. 吉日

日本セクシュアルマイノリティ協会 理事長
吉美 (中根元美)

協会運営メンバー紹介

理事長/設立メンバー
吉美 Yoshimi
(中根元美 Yoshimi Nakane)

二児の母。恋愛観が人と異なることで、過去には人として欠陥品なのかと悩んだ事がある(今でいう、アセクシュアルなどに近い。あえて明言は避けます。)妹が重度障がい者で、前例が無い症例とされた為、妹に合わせた引越し転校が多く、全国を転々とする。いじめや登校拒否も経験。自身の半生から10歳の時に「本当の意味で誰にでも住みやすい社会とはなにか。この経験を生かし大きな意味で人の役に立ちたい」と考え、衣食住のある生活ができているなら、幸せだと考えられるようになった。それから10年経ち、学生時代にレズビアンとトランスジェンダーから告白されたが、それより何年か後の親友のカミングアウトに心底驚いた。当時まだLGBTという言葉はインターネット上では見つけられず、まだ誰も総合的な活動をしていないなら、理念を持って人生をかけてセクマイの問題と向き合おうと思い、夫と親友と共に団体を設立。今に至る。

副理事長
もち子 Mochiko
(望月雅子 Masako Mochizuki)

静岡県出身。幼少の頃から自分の性別に違和感を感じていました。しかし、私のあり方は白でも黒でもなく、グレーでした。自分以外の人間になれる芝居の世界、男女の隔たりのないデザインの世界に足を踏み入れてきました。現実逃避で数年にわたり摂食障害を煩ったこともありました。今・・・グレーでいい。ありのままでいい。日本セクシュアルマイノリティ協会と出会い、ようやく自分を認めることができました。そして私自身、沢山のメンバーまた社会の変化をひしひしと感じています。ひとりひとりが“ありのまま”でいられる、そうした小さな変化から、大きく社会が変わると思っています。多くの人が住み良い社会にする為に、今後も意欲的に活動していきます。

理事/設立メンバー
すぐろひろたか Hirotaka Suguro

静岡県出身。学生の時に同性の友人から告白をされる。その後、仲の良かった友人からのカミングアウトを違和感なく受け入れたことで、本人を含めた周りから疑問の声が上がった。その反応が意外で、社会に対して、「受け入れることを疑問に思わないでほしい。正しい知識をしっかりと知って欲しい。」と思い活動するようになる。趣味はドライブ。

理事
大坪力基 Rikimoto Otsubo

東京都文京区千駄木生まれ。「周りの人たちと自分は違う…自分は『規格外』なのでは…」と悩んでも、単にそのように見えているだけだったりします。本当は、みんな個性があって、一人ひとり違いがあります。「あるがままの自分で、仲間と交流し、気持ちが楽になった。」そういうお手伝いができればうれしいです。29歳で政治学の博士号を取得し、大学講師を歴任。2003年3月に行政書士登録。2004年からパートナーと生活している。AbemaTVに出演し、LGBT法案に関しコメント。映画アスリートのパンフレットに寄稿した。

理事
清水國明 Kuniaki Shimizu

私は芸能界に籍を置きつつ、所沢市の教育委員会委員を二期務めています。教育の現場で直面している様々な問題に取り組む過程で、互いの個性を認め合い、尊重し合うことの大切さを実感しています。LGBTの検定を受けたことにより、自分の不勉強を恥じつつ、これからの世の中が目指すべき理想社会の実現に、微力ながら貢献させていただきたいと思いました。人生いろいろ、いろいろあって当たり前。それが当たり前の社会になって、誰もが心地よく過ごすことができる世の中にすること。偏見や差別に立ち向かうのではなく、互いに学ぶこと。「愛」の反対語は「無関心」だそうですが、私はまず、たくさんの人と語り合うことから始めようと思っています。よろしくお願いします。

監事
玉津理沙 Risa Tamatsu

2人の子どもを育てるシングルマザーです。私は幼少期にアメリカで住んでいた事から、それぞれ多様な生き方がある事を感じていました。日本に戻り『こうあるのが普通』という生活に窮屈さを感じたものです。結婚したからこうあるべき、母親だからこうするべき等という事も、母親の姿から疑問がありました。パートナーとは考え方の違いから離婚して今に至りますが、自分とは違う考え方を受け入れようとした時のしんどさは身に染みています。皆それぞれが『自分らしく』自信を持って生きる事ができれば、幸せな社会になるのではと思い、活動に参加しています。どうぞよろしくお願いします。

設立メンバー
中根康助 Kohsuke Nakane

エルからゲイであることのカミングアウトを受けて、人生でどんな壁があるのかを一緒に調べ、将来を考えました。私自身が当たり前に受けられるサービスや制度をエルは受けられないのなら、みんなが安心できる幸せな未来を目指したいと思い、手探りで活動してきました。これからもできることをひとつずつ実行していきたいと思います。

設立メンバー
エル

基本的にカミングアウトはしていません。みんなが安心して生活できる場所をつくりたい。こんな思いで活動をしています。
学生時代、セクシュアリティで悩んでいた時、一人で生きること、結婚できないことがとっても不安でした。でもその時僕には支えてくれる友人がいました。
今では、協会を通じてたくさんの人と知り合い不安はなくなりました。みんなで協力しながら活動することのすごさを実感しています!