ご挨拶(2016.12)

『安心と中立』それは、日本セクシュアルマイノリティ協会が2011年1月に設立される前身の時代から、私たちが大切にしてきたものです。当協会は安心を実現する為に中立な立場から、さまざまなコトや物・人の架け橋になります。セクシュアルマイノリティ(LGBT)ひいてはすべての性の住み良い環境を整える為に、今までの経験を生かしながら、できることを一つ一つ実践していきます。

「セクシュアルマイノリティ(LGBT)とその理解者が寄り添いあい、支え合えたら安心だ。」「人生行路の指針となるものがあったらいい。」「ノーマライゼーション。少数派も多数派も認め合い、いろんな人がいる社会が当たり前になったらいい。」という気持ちで、“協会”を設立しました。

100人いれば100通りの認識

今やセクシュアルマイノリティ(LGBT)は多様な性として、日本の社会でも受け入れられ始めています。性別はグラデーションのように100人いれば100通りの認識があります。性別が「男性」「女性」の二通りに依らないことが理解されつつある今だからこそ、丁寧に素直な私たちの姿を発信していく事が大切です。

正しい知識を得ることはとても大切です。ですが『正しい』とはどういうことをいうのでしょうか。例えば子どもを東大に入学させたい母親が育児書を100冊読んでも、高名な教育家のセミナーを聞きに行っても、そもそも子ども本人が大学受験をしようと思うかはわかりません。どんな人生を送るのか、最終的にはその子(人)を取り巻く人間環境や社会環境が大きく関係してきます。私たちは一人ひとり異なる人間ですから『答えが出ないことが答えである』と言えます。ひとりひとりと向き合い、一つ一つの事例の理解に努める社会の促進を目指します。

1人だけでなく、みんなの力で

日頃あまり意識しませんが、私たちは支え合いながら生きています。それを、一つの形にしたものが協会です。『相互扶助』の精神で、それぞれができる形で支え合い、一つのコミュニティ(協会)を形成することで、協会がその人の人生にとって、一つの安心の形としてありたいと考えています。その人のペースで、ときに寄り添い合い、ときに時間を共有したり楽しんだり、または静観することもできる環境をめざしています。
「それぞれができる形で支え合う」とは、高い能力や特別な何かが必要なわけではありません。能力に関係なく気持ちが集まることで、形にできることがあると信じています。

ありのままの自分で

『ありのままの自分』、例えば自分がしたい格好や話したい話し方で過ごせる。カミングアウトをした方が自分らしく生きられる人は、迷わずカミングアウトできる。カミングアウトをする必要がなく、するつもりがないのなら黙っていられる。それぞれにとって自分らしい選択ができる社会を作ります。

日本セクシュアルマイノリティ協会は、すべての性にとっての「安心」とは何かを考え、快適に過ごしていける社会になるよう努めます。

2016.12. 吉日

日本セクシュアルマイノリティ協会 理事長
吉美 (中根元美)