グイドの恋バナ！（前半）

わたしには　あい　がなかった
恋愛、友愛、家族愛、博愛、性愛……
「愛」と名の付くものが　わたしにはなかった

わたしには　あい　がなかった
けれどもわたしはあいをてにいれた
だからどうしてもうしないたくない

たとえそれが　アイ　ではないのだとしても

失うもんか
ぜったいにぜったいに
死んでもはなさない
はなすもんか

おまえは一生
おれのものだ

普段はノンバイナリー（性自認）と名乗っているグイドが、今回は珍しく「ジニセクシュアル（性的指向）」について二回に分けて語ります。語ると言うより考えます。
普段あまりこちらについて語らないことには理由があります。
それは、私自身もよく分かっていないからです。
私は生まれ変わっても確実に（社会にバイナリーが存在する限りにおいては）ノンバイナリーの自信があります。
けれどもジニセクシュアルである自信はありません。

君のことが好きだよ
ずっと
ふかく　深く　すきだよ

きみがとっても　ちいさい　頃から
とっても　ちいさい　頃から

ようやく子宮内膜に
居場所を見つけたばかりの

ああ
きみが
原腸陥入したときから
運命決定したときから
内のなかに外をつくったときから
禁忌を破って飛び出した
「連続ではないもの」の次元へ
「同相ではないもの」の次元へ
「新たなるもの」の次元へ

ずっと　ずうっと
あいしてる

あなたを貫く残酷なロンギヌスの槍を
蛇のように哂うそれを体内に宿した時から

プランクだってあなたを量子化することはできない
トンネル効果だってあなたを飛び越えさせることはできない

ずっと　ずうっと
あいしてる

アイシテル
……？

あれっ
僕が本当にあいしてるのは
きみじゃない？

僕が本当にあいしてるのは
僕が本当にアイシテルのは……

あなたの体は
y=-logx
その頂に君臨する

女王のような　気高き寝待月

けれども
あなたはトリカゴの奴隷

そして私は
アイの
貴方の愛の奴隷

私のこころは
と　わ　に
あなたのものですから

ダッダッダッダッダッダッ
ダダッダッダッダッダッダッ
Verbrenn！Verbrenn！Verbrenn！

腸（はらわた）から煮えたぎる
烈火の吐瀉物が喉を溶かしてしまえ！

お前はいつも私を発憤させる
その充溢した感情は

×欲なのか、×欲なのか！？

おお
答えておくれ

この愛を
涎に濡れた瞼を

神がいると言うのなら
なぜ私をこう創った

あなたが
行くというのなら

私は最後に見守りましょう

あなたが
行くというのなら

私は最後の瞬間まで考えましょう

Lennard-Jones potential

あなたは深遠だ
けれどもあなたは偶然だ

あたなはいつも私に背を向けている
あなたはいつも不機嫌そうに笑っている

せめて　さいごに
そ　っ　と
くちづけを

あなたがいやというのなら
私がいやというのなら

van der Waals radius

を超えて

どこかの星に落下する煌めきのように
熱く燃えて近づいて　ちかづいて

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