自分にも特権ってある?

写真コラージュのキャンペーンの様子

初めまして、シス女性(自認・出生時の性が女性)のユカと申します。以前は異性愛者でしたが、現在セクシュアリティ模索中です。今日は私が現在住んでいるオーストラリアの先住民であるアボリジニの方の人権を通して、特権について考えてみたいと思います。

アメリカやカナダと同様、オーストラリアでも先住民の方々は自分の土地を侵略され、人権を踏みにじられてきた凄惨な歴史を持ちます。そんなアボリジニの方の人権回復の一環として、今年後半に憲法でアボリジニの方々を先住民として認めるための国民投票を行います。先住民に対する人権侵害は日本も例外ではなく、アイヌ民族への同化政策、差別の歴史があります。また、国連人種差別撤廃委員会は沖縄の人々を先住民族と認めるよう、日本政府に勧告しています。

私自身に投票権はないものの、この国民投票のキャンペーンに協力しています。まずは私のアパートの大家さんに話をしに行きました。というのも、彼は定年間際の裕福な白人であり、彼の友達もみな同じような階層で、彼の友人たちがおそらく無自覚に人種差別発言をするのを聞いたことが何度もあったからです。彼はとても優しい人なのですが、そういった理由ですごく緊張しました。

写真コラージュのキャンペーンの様子

「憲法改正のためのイベントに行ってきたんだー」と話しかけてみました。彼はアボリジニの方々が今貧困に苦しんでいるのは自己責任だと考えているようでした。私の大家さんは人種問わず人に親切に接しているように見えます。にもかかわらず先住民に関する認識はとても偏っているように思いました。これには歴史教育や誤情報の蔓延という理由も大きいと思いますが、何より自分が持っている特権に無関心であるという事が大きく影響していると思いました。無関心でいられるということが特権である、とも言えると思います。

みなさん、自分に特権はあると思いますか?
パスポート写真
普段あまり考えたことがない、という人は特権を持っている可能性が大です。特権はお金持ちや政治家だけが持つものではありません。日本・海外を通して女性である、有色人種であるために受けた差別や暴力は「あちら側」の特権を認識するのに十分な経験でした。その一方で途上国で長く働いた経験から、自分の持つ特権を認識する機会が多くありました。

私は「日本国籍を持つ」ということは特権だと思っています。日本でも経済格差が話題になってますが、貧困や虐待などに苦しむ人がいることを否定するものでは一切ありません。ですが日本に生まれ育った場合、多くの人が他国と比べると安全な環境で、安全な水を飲み、電気があり、教育を受けられる環境があったはずです。途上国の人たちから見れば、これは完全な特権です。自分には関係ない、と思うかもしれません。ですが旧植民地の多くは旧宗主国との不公平な関係が現在も別の形で続いており、旧宗主国との貿易、外交などで利益を得ている日本もその不平等の一端を担っていると考えることもできるのです。

日本のパスポートは最強である、という記事を見たことはありますか?パスポートランキングで日本は常に最上位のクラスにいて、世界各国のビザ取得にかかるコストが金銭的にも労力的にも低いのです。相対的に裕福な日本人が、最貧国の人よりお金をかけずに渡航できる、ということです。
特権イメージ
{パスポートランキング出典:https://www.henleyglobal.com/passport-index/ranking

人にはたくさんの側面があります。一つの側面でマイノリティであっても他の側面では特権を持ち得る、ということです。私にもまだ認識できてない特権がたくさんあるはずです。例えば私にとってはシス・ヘテロ特権(性自認が出生時の性と一致し異性愛者であることから生じる特権)は最近実感したことです。特権を認めることは気まずいかもしれません。それは加害者のレッテルを張られるような恐怖心、または自分だってつらい思いしてきたんだ、という気持ちがあるからではないでしょうか。でもつらい思いを経験したからこそ、マイノリティの痛みを想像することができるのはないかと思うのです。

特権を認識したら、今度はその特権を使ってみませんか?マイノリティ側が声を上げても、マジョリティ側は自分にはメリットがない、あるいは理解できずに耳を貸さないかもしれません。まさに私の大家さんが良い例です。本来親切な人なのに、おそらく今まで自分の属性(人種、性別、セクシュアリティなど)のせいで不当な扱いを受けることが少なかったためにマイノリティの痛みを想像しずらいのでしょう。

では特権ってどうやって使ったらいいでしょうか?

例えば、自分の友人が他の女性の友人に「彼氏いないの?」って聞いていたら、彼氏じゃなくてパートナーや好きな人など、性別を決めつけない聞き方にしてみたら?と提案してみる。在日外国人を差別するような発言を聞いたら、なぜそういった発言をするのか聞いてみて、自分の考えを話してみる。
女性カップル
画像出典:Image by Freepik

私はほとんどの人がエンパシー(共感力)を持っていると思います。他人事を自分事にできれば、痛みを想像できると信じています。勇気がいりますが、マジョリティの中でこういった小さな変化がたくさん起きれば、マジョリティだからこそ全体の変化も大きくなりますよね。アンテナを張って日々生活すると、いろいろな特権が見えてくると思います。私もできることからコツコツと頑張ります!一緒に自分のできる小さいことから始めてみませんか?

最後まで読んでくださってありがとうございました。

Twitter・Instagramもやっています。ぜひフォローしてくださいね♪
JLGA
日本セクシュアルマイノリティ協会のTwitterは こちら
EESa!アクティブメンバー
EESa!のInstagramは こちら
日本セクシュアルマイノリティ協会のボランティア活動

  • ボランティアに参加する

ありのままの自分で、胸を張って生きていける。そんな社会の実現を目指して一緒に活動してみませんか?何ができるかわからないけど協力したい、活動したいという方、自分らしく輝ける場所として何かを表現したいという方、一緒に活動しましょう。
https://npojlga.or.jp/volunteer/active-menber

  • イベントに参加したい学生の方々

LGBTQ当事者へのインタビュー会を開催しています。授業での取り組みや研究の一環としてインタビューしたい方、ぜひこちらのイベントにご参加ください。
当事者インタビューの詳細はコチラをご覧ください。
https://npojlga.or.jp/event/list/detail_interview.html

  • 設立メンバーインタビュー会

当協会がこれまでに行ってきたLGBTQ+への取り組みや協会の歩みなどについて、設立メンバーにインタビューできるイベントを2か月に1回開催しております。
協会設立メンバー(現代表)へのインタビューの詳細はコチラをご覧ください。
https://npojlga.or.jp/event/list/detail_condinterview.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)