こんにちは、トランスジェンダー女性のみやです。
トランスジェンダーは日常生活でさまざまな困難に直面しますが、その中でも最も根本的な問題にフォーカスしたいと思います。
注)このブログはバイナリーな(狭義の)トランスジェンダーを意識して執筆しました(特にトランスジェンダー女性)。ノンバイナリーの人にはあてはまらないかもしれません。
皆さんは女性の貧困という問題について聞いたことありますか?
男性より女性の平均年収が低い、シングルマザーで生活費も養育費もままならない、専業主婦でスキルがなく非正規雇用から抜け出せない、ライフイベントによってキャリアが中断される、などなど。
もちろん全ての女性が貧困というわけではないし、男性の中にも貧困で大変な人はいますが、全体的な割合として、男性よりも女性の方が貧困率が高いのです。
女性の貧困は、頻繁に社会問題として取り上げられていますが、実はトランスジェンダーの貧困問題のほうがより深刻な問題なのです。
シスジェンダーの女性は、女性差別によるさまざまな制約を受けつつも、教育の機会も、雇用の機会も法律で保護され、男女の格差は是正の方向に向かっています。
しかし、トランスジェンダーはその性別によらず、幼少期から差別や偏見の目に晒されて、不登校になるなど教育の機会を失い、雇用においても大きな困難を抱えることとなります。
トランスジェンダーであることを理由に差別してはならない、ということは当たり前のことなのです。
しかし、あまりにも差別がひどいために法制度化しようという動きがあったにも関わらず、結局その法律はマイノリティよりもマジョリティを配慮した骨抜きの法律となってしまいました。
私たちトランスジェンダーは、トランスジェンダーであるというだけで、差別と貧困のレール上に乗ってしまっているのです。
幼少からいじめられ差別を受けて育ったトランスジェンダーは、精神的に不安定となり、必要な教育を受けることができず、安定した収入を得ることが難しいのです。
わたしは、お金はあらゆる問題をある程度解決できる、と思っています。
お金さえあれば、整形して自認する性別の外見に近づけることができ、性別適合手術を受けて戸籍を変えることもできる、声帯を手術して高い(低い)声で話せるようになる、医療機関で差別的な扱いを受けるようなことがあればお金を出して自費診療で解決できます、性同一性障害の診断が出ているから住宅ローンが組めない生命保険に入れないなどの問題もお金さえあれば解決します。
差別を受けるから貧困になる、貧困になるから生活が不自由になる、不自由な(差別的な)行政の制度や慣習に従わざるを得ないからさらに貧困になる、の悪循環です。
私たちトランスジェンダーは基本的に子孫を残せないために、国家から見れば救う価値がない、助ける価値がない、と思われるかもしれません。
行政も医療も、私たちのことを真剣に助けてはくれません。
困ったと相談に行っても、むこうは仕事だから相手にしているだけで、根本的な解決にはなりません。(と、私は感じます)
公共福祉サービスはトランスジェンダーにとって役立たずです。(と、私は感じます)
トランスジェンダーの介護問題なんて、いったい誰が考えているでしょうか。
トランスジェンダーといってもひとりひとり事情は異なりますが、私が声を大にして言いたいことは、とにかく経済的な自由を手に入れることをいちばんの目標にしてほしいと思います。
差別と貧困の負のスパイラルに絡め取られると、そこから抜け出すのは容易ではありません。
そのことをできるだけ早く、できれば義務教育の段階で気付き、自分のライフプランを真剣に考えて、どのように経済的な自由を手に入れることができるか、ビジョンを持ってほしいと思います。
残念ながら、シスジェンダーもトランスジェンダーも分け隔てなく平等に暮らせる社会、などという幻想は私が生きているうちには実現しないでしょう。
それは、米国で今なお黒人や移民に対する差別がなくならないことを見れば、容易に想像できる未来です。
女性用トイレや公衆浴場からトランス女性を締め出せなどという、現実を理解しないヘイトスピーチは今後も無くなることはないでしょう。
これは私の考えですが、差別がそのうちなくなる、という希望的観測を捨て、現実に目を向けて、いかにして経済的に自立するかを考える方が、豊かな人生になるのではないかと思います。
そのためには自分らしさの表出と、社会との調和について、バランスをとって生きていく必要があります。
若いトランスジェンダーの人に伝えたいことは、できるだけ早く、両親など親しい人に頼って、貧困に陥らないように、自立できるように、ライフプランを設計して欲しいと思います。
いちど貧困のスパイラルに入ってしまうと抜け出すことは困難です。
私たちトランスジェンダーは、生まれた時点でマイナスからのスタートです。頑張って生き延びましょう。
- ボランティアに参加する
ありのままの自分で、胸を張って生きていける。そんな社会の実現を目指して一緒に活動してみませんか?何ができるかわからないけど協力したい、活動したいという方、自分らしく輝ける場所として何かを表現したいという方、一緒に活動しましょう。
https://npojlga.or.jp/volunteer/active-menber
- イベントに参加したい学生の方々
LGBTQ当事者へのインタビュー会を開催しています。授業での取り組みや研究の一環としてインタビューしたい方、ぜひこちらのイベントにご参加ください。
当事者インタビューの詳細はコチラをご覧ください。
https://npojlga.or.jp/event/list/detail_interview.html
- 設立メンバーインタビュー会
当協会がこれまでに行ってきたLGBTQ+への取り組みや協会の歩みなどについて、設立メンバーにインタビューできるイベントを2か月に1回開催しております。
協会設立メンバー(現代表)へのインタビューの詳細はコチラをご覧ください。
https://npojlga.or.jp/event/list/detail_condinterview.html