こんにちは、トランス女性のみやです。
多くのトランス女性がそうであるように、わたしも例外ではなく、小さい頃からトランス女性であるが故の抑圧を受けて育ちました。
大人になってから、私は周りとは違う生きづらさを抱えていることに気づき、色々な知識を身につけましたが、特にアダルトチルドレンに関する知識は私の心に響くもののひとつです。
わたしの心の土台には、優等生でなければいけない、という信念が今でもとても強く残っています。ヒーロータイプのアダルトチルドレンです。
(このブログではアダルトチルドレンの詳細な説明は割愛します)
物心ついたとき、自分の性別違和を認識するとほぼ同時に、その違和感はあってはならないものだと、幼いわたしは確信してしまいました。
わたしが抱えている本当の性自認は、世の中においてイケナイことなのだと。
そこでわたしは生きるための戦略として、女性としての自我を抑圧して、周囲にそうとわからないように隠して生きることにしました。
本当の自分を抑圧し、性別違和なんて無かったかのように、男性として振る舞うことに決めました。
わたしの生育環境とその時のわたしの判断能力では、それが最善の選択でした。
そしてわたしは、本当の自分を隠して生きていくうちに、次のような考え方がどんどん大きくなっていきました。
わたしは本来的には失敗作の人間だから、その欠点を補うために、それ以外のことは優等生でなければいけない。
幼い頃の記憶にあるトランス女性のイメージといえば、メディアでコミカルな役割を演じるオネエやニューハーフ。滑稽な存在として、人に笑われて、ゲテモノのように扱われる。
わたしはそういうピエロみたいな存在にはなりたくないと思った。指差されて笑われるような人間にはなりたくないと思った。
親や兄弟や親戚に、恥晒しと罵られる。そうなってはいけないと思った。
結果的にその考えが強い私を作り上げた。
今の私は指差されて笑われるような存在ではなくなったと思うし、平均的な生活水準もクリアできていると思う。トランス女性としては恵まれた位置にいると思う。
しかしその強さの代償として、いつ発作が起きるかわからない気まぐれなメンタルヘルスと共に生きていくことになった。
私は優等生でなければならない呪縛から、今でも逃げることができない。
ありのままの自分は檻の中に閉じ込められている。
一般的にアダルトチルドレンは両親などの家庭環境に問題があり、その環境を離れて大人になってから、改めて幼かった頃の自分を再構築して癒すことで改善に向かう。
しかしトランスジェンダーは家庭環境だけが問題ではない。トランス女性に差別的な社会、偏見、不利益など、不健全な環境は家庭の外に出ても、大人になっても、いつまでも纏わりついてくる。
わたしは「子ども時代の辛かった自分を抱えているアダルトチルドレン」ではなく、子供の頃から今に至るまで、そしてこの先も、永続的な生きづらさを抱えて生きなければならないアダルトチルドレンなのではないだろうか。
幼かった自分を再構築しても、今を生きる自分は幼いときと同じ苦しみを抱えている。
私の中の幼い自分に「あの時は辛かったね、でももう大丈夫だよ」と言ったところで「いや、今でも辛いんだが」と今の自分が反論する。
そんなこじれたアダルトチルドレンは一体どうすれば救えるのだろうか。おそらくそれは私個人ではどうにもならない。
社会がトランス女性に包摂的になり、多様な性のあり方を尊重できるようになったとき、ようやく私は、私の中の子どもを癒すための作業を始めることができる。
昨今のトランス女性に排他的な言説はもう聞き飽きた。
当事者として一つだけ言いたいことは、悪いのはトランス女性ではなく、トランス女性を包摂できない「社会の仕組み」にあるのだと訴えたい。
包摂的な社会を築くためには、思考停止して当たり前を惰性で続けるのではなく、伝統や文化や古い価値観を、今の時代に合わせて見直す必要がある。
日本の社会で当たり前だと思っている慣習やルールは、トランス女性だけではなく、グローバルな視点で、多様な人種や、障害を持つ人など、色々な人を置き去りにしていないだろうか。
ジェンダーの多様性を包摂できる社会になったとき、私と同じようなアダルトチルドレンの苦しみが癒やされることを願ってやまない。
- ボランティアに参加する
ありのままの自分で、胸を張って生きていける。そんな社会の実現を目指して一緒に活動してみませんか?何ができるかわからないけど協力したい、活動したいという方、自分らしく輝ける場所として何かを表現したいという方、一緒に活動しましょう。
https://npojlga.or.jp/volunteer/active-menber
- イベントに参加したい学生の方々
LGBTQ当事者へのインタビュー会を開催しています。授業での取り組みや研究の一環としてインタビューしたい方、ぜひこちらのイベントにご参加ください。
当事者インタビューの詳細はコチラをご覧ください。
https://npojlga.or.jp/event/list/detail_interview.html
- 設立メンバーインタビュー会
当協会がこれまでに行ってきたLGBTQ+への取り組みや協会の歩みなどについて、設立メンバーにインタビューできるイベントを2か月に1回開催しております。
協会設立メンバー(現代表)へのインタビューの詳細はコチラをご覧ください。
https://npojlga.or.jp/event/list/detail_condinterview.html
物凄く共感できました。
私自身もアダルトチルドレンだろうと思いながらどれを見ても機能不全家庭に行き当たり、恐らく自分がこうであるその原因は性的指向と性自認にあると思いながらあまり同じようなケースの記事を見つけられなかったのでホッとしました。ありがとうございます。とはいえ、どう改善していけばいいのかはなかなか見つからず、これからずっと向き合い続けなくてはいけないのだと思っています。