トランスジェンダーは楽しそう？

こんにちは、トランスジェンダー女性のみやです。
※このブログににはトランスジェンダーの自殺に関する記載があります。

「みやちゃんは自分のやりたい様に、自分らしく生きてて楽しそう」
シスジェンダーの知り合いから、時々言われます。

私の周囲には、結婚して子供がいて、といったいわゆる普通の家庭を持っている人が多いです。
家庭内での人間関係がうまくいかない人から見たら、私の生き方は誰にも縛られることなく1人で自由に楽しく生きているように見えるのかもしれません。

わたしはトランスジェンダーとして様々な困難を経験して、自分がトランスジェンダーであることを何度も恨みました。
今の世の中はトランスジェンダーが生きていくには、あまりにも困難が多すぎます。
自ら命を断つトランスジェンダーが多いことは、私も体感で納得できることです。

でも、見方によっては、私のような生き方を、楽しそうだ、羨ましい、と思う人もいるのです。

私はトランスジェンダーであることを自ら選択したわけではありません。物心ついた頃には自分の性別に違和感があり、この違和感とどう折り合いをつけて生きていくか、悩んで苦しんでいろいろな選択をした結果、今の私があります。

一方、私のことを羨ましいと思うシスジェンダーでヘテロセクシュアルの人たちは、自分の性的指向や性自認に悩みを持つことなく、自らの意思で結婚して家庭を持ち、その結果に不満があるのです。

私のことを羨ましいだなんて、なにを贅沢なことを言ってるんだ？わたしがシスジェンダーとして生まれていたら、こんなに苦労しなくて済んだのに、悩まなくて済んだのに、もっと幸せに生きることができたのに、と思ったりします。

でも、私がシスジェンダーに生まれていたら本当に幸せになれただろうか、とも思います。

わたしはトランスジェンダーという困難を抱えているからこそ、生きる意味や、幸せとは何かを真剣に考えることになりました。
わたしが望む身体を手に入れ、望む性別で社会生活を送れたとして、シスジェンダーの女性になれるわけではありません。
子供を産むことができない私にとって、パートナーは本当に必要なのか、パートナーの存在意義や、結婚とはどういうことなのか、といったことも考えます。

社会はトランスジェンダーに対して非常に厳しいです。トランスジェンダーなんてこの世から居なくなれ、と言わんばかりのヘイトスピーチに遭遇することも少なくありません。

トランスジェンダーは日常の様々な面で、シスジェンダーでは考えられない不利益を受けますが、だからといってシスジェンダーよりも不幸だとは限りません。

今日を生きることすらままならない、生きている意味がわからない、死んでしまいたい、そんな状況のトランスジェンダーが大勢いることだと思います。
私の身近にいるトランスジェンダーは、自殺念慮を口にする人、自殺未遂をした人、自ら命を絶ってしまった人が多くいます。
トランスジェンダーの多くは、生きる恐怖と死ぬ恐怖が拮抗しているのです。

わたしもまだ自分にとっての幸せとはなんなのか、生きる意味はなんなのか分かりません。
性別違和という非常に大きな困難を抱えてまで、生きる価値があるのかと思う時もあります。
時に、努力に意味があるのだろうか、苦労するだけ損なんじゃないか、とも思います。

これらの問いには、誰も答えてくれません。正解などなく、自分で納得できる理由を見つけなければなりません。でも、死んでしまったら永遠に答えはわからないままです。

トランスジェンダーには様々な制約はありますが、生きることを諦めないでほしい、自分なりの幸せと生きる意味を見つけて欲しい、と思います。
圧倒的特権を持っているシスジェンダーの人の中には、私たちのことを羨ましいと思う人もいるのですから。

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